前半のプログラムでは、ショパンの「スケルツォ第3番」をメインに、フランスで活躍した作曲家たちの作品を取り上げます。ショパンはポーランドに生まれ、その半生をフランスで過ごしました。ポーランドの魂とフランスのエスプリが融合した彼の音楽は、まさに両国の文化をつなぐ架け橋といえるでしょう。
後半のメインは、セザール・フランク作曲「ヴァイオリン・ソナタ」(チェロ編曲版）。フランクはベルギー出身ながら、フランス音楽の伝統を受け継いだ作曲家で、その豊かな和声と構築美はショパンとはまた異なる魅力を放っています。それぞれ時代も背景も異なる作曲家たちですが、そこに共通して流れているのは「詩情」と「叙情性」。
前半のショパンから後半のフランクへと続くフランスの香りを、冬のひとときに感じていただければ幸いです。

森永康夫